レース事情の移り変わり

実業団チーム TEAM GIRO 360 の岡本秀明選手よりレポートを頂きました。
大変興味深い内容ですのでご紹介させて頂きます。

21年ぶりにロードバイク(レース)再開してびっくりした12のこと
1995年にロードレース&乗るのをやめ、2016年から再開して、変わっていてびっくりしたことをあげてみました。

1.ホイールのスポーク数が激減していてびっくり
以前は、ホイールスポーク数は練習用36本(丈夫な後輪用40本も)、レース用(決戦用)32本か28本でした。しかも、練習用のスポークは太め、レース用は細めで組んでいました。自分は、練習用はMavicのGP4というリムで組んだホイールで、スポーク数は前輪36本、後輪は40本を使ったりもしていました。レース用はMavicのGL330リムでスポーク数32本でした。
近年では、スポーク数が24本、20本、16本などと本数が激減していて驚きました。当時の感覚からすると、よくもまあこんな少ない本数でふつうに走れるものだなあ、とびっくりです。しかも、前輪のスポーク同士が交差していないラジアル組みとなっていて、これまたびっくり。路面からの振動吸収性がとても悪いのではないかと心配したほどでした。当時の前輪は交差させる組み方(タンジェント組み)が当たり前で、交差していないホイールは、ピスト用やタイムトライアル専用のものでした。

2.ロードレーサーって言わないの?
以前は、ロードバイクのことをロードレーサーと言っていました。ロードバイクという言い方を耳にした記憶がありません。
近年では、ふつうにロードバイクと言うので、浦島太郎状態でした。

3.シマノと並ぶ国内パーツブランド、サンツアーはどこへ?
以前は、自転車パーツ群(コンポ)の国内メーカー(ブランド)として、シマノとサンツアーがありました。1980年代において、シマノのパーツセットを使用する人びとと同じくらいサンツアーのパーツセットを使っている人がいたように思います。ハブなどは、ベアリング部分が、サンツアーのほうがシールドベアリングで性能が良いらしいからサンツアーを使おう、なんて言っていたりしました。リアのディレーラーは、チェーンにテンションをかけるバネが、シマノは1か所(シングルテンション)、サンツアーは2か所(ダブルテンション)の時期があり、サンツアーのダブルテンションほうが変速性能が良いようだから、サンツアーを使おうかな、とも言ったりしていました。サンツアーのパーツ群(コンポ)としては、シュパーブプロ、スプリント、サイクロンなどがあり、特に最上級のシュパーブプロは、表面の磨きあがった鏡のような加工がとても美しかったように記憶しています。
そんなシマノと並んでいたサンツアーが、ロードにまた乗り始めた時には見当たらず、どこへ行ってしまったの? とびっくりしました。

4.ガーミンって?
自転車再開して、ブログなどに、ガーミンが~、とか、ガーミン様の言うとおりに~ など、ガーミンという用語がけっこう出てきました。ガーミンという概念が当初まったく分からず、調べようと思う時期が来るまで、いったい何なのか、謎でした。

5.ブルべって?
以前は、ブルべという用語を聞いた記憶がありませんでした。
再開後、これまた長距離走行系ブログ記事にブルべという用語がけっこう出てきて、ブルべっていったい何なのか、まったくわかりませんでした。

6.エンデューロ
エンデューロという用語も以前はほとんどなかったように思います。サイクルロードレースか、公道を長距離を走るサイクリングイベントのいずれかで、耐久レース(エンデューロ)はほとんどなかったかな。1987年頃に、夜につくばサーキットを数時間走る耐久レースが開催されてチームで出場したことがあり、そのあたりがエンデューロが少しずつ始まる時期だったのかもしれません。
再開後は、市民向けの大会では、サイクルロードレースよりもエンデューロのほうが参加者数が多く人気が高いので、びっくりしたものです。エンデューロは、基本的に、周回遅れで降ろされることがなく、誰でも完走できるし楽しめるので、そこが受け入れられたのかなと思います。

7.春のチャレンジサイクルロードレースの人気はどこへ?
以前は、3月に伊豆CSCで開催されるチャレンジサイクルロードレースというのが大人気で、シーズンインを知らせる大会でもあり、各年齢カテゴリーに100~200名ほど参加するような大盛況レースとなっていました。今で言えば、ツールドおきなわ級の盛況ぶりでした。
再開後、チャレンジサイクルロードレースはどうなっているのかをみると、参加人数の激減ぶりに驚きました。エントリー数がこんなにも少ないのか、と。時代的に、純粋なサイクルロードレスではなくて、エンデューロ大会が受け入れられるようになったのかな、と感じさせられました。

8.フレームポンプというものがなくなっていた…
以前は、ロードバイクと言えども、フレームポンプという、今となっては長~い空気入れがあり、トップチューブやシートチューブ、場合によってはシートステーにつけて走っていました。クロモリフレームが当たり前の時代、オーダーするときは、トップチューブに、フレームポンプを引っかけるためのポンプペグも溶接してもらっていました。フレームポンプであれば、走行中にパンクしても、空気を入れるのがそれほど大変ではありません。当時は、ロードと言えばチューブラータイヤが当たり前でしたので、練習中のパンクの回数が多く、フレームポンプが重宝しました。
再開後、あんな便利なフレームポンプという文化?がなくなっていて、びっくりし、困りました。携帯用空気入れがあんなに小型化していて、空気を入れることが大変になっているとは! ロードバイクにフレームポンプをつけない見た目のスマートさが重視される時代になったこともあるのかな、と感じました。

9.Tour de Franceの山岳ステージでタイム差があまりつかない!
以前は、Tour de Franceの山岳ステージで、エース同士の戦いで、1分、2分であったり、数分の差がつくことがまあまあ通常であって、逆転や大逆転、波乱が期待できる時代だったと思います。
近年では、総合上位陣の戦いで、厳しい山岳ステージであっても、数秒差、10秒差、20秒差などしかつかずにゴールしてしまうことが多いように思います。分差がつくのが当たり前だった感覚で山岳ステージを見ていると、時代の変化を感じます。総合タイム差が数分ついてしまうと、大逆転が期待できない・できにくい時代かなと。

10.サドルを前に出して前乗りの時代へ
近年、サドルを前方に出して、さらにサドルの前方に座ることも多い前乗りの時代。これには驚きました。以前はそのような時代ではなかったので、当時のロードバイクに見慣れていると、見た目のバランスの美しさに関しては、サドルを前に出さないほうが見た目的にはいいなと…。
そして、当時の1980年代~1990年代初頭の選手たちが、もし今のように前乗りポジションで練習して走ったらもっと速く走れていたのだろうか、どうなのだろうか、と想像してしまいます。

11.変速の多段化・電動化が実現していた!
以前は、リアの変速・スプロケットは、6段、7段が通常で、シマノのデュラエースが8段を世に出して、最後に8段を使用していました。中高生の頃は、「後ろのギヤが10段になったり、変速が電動になったらすごいよね~、夢のようだよね~」などと言っていて、本当に夢物語でした。
再開後、はじめにトレックのティアグラコンポモデルを購入し、10段となっていて、それはそれは多段化に感動したものでした。ギヤチェンジを何回してもまだまだできる、といった感覚でした。その後、アルテグラの11段を使うことに。自分はまだ使ったことはないですが、電動変速を当たり前に使っている人が多数。夢物語だった、変速の電動化、リア10段以上のギアが当たり前になっていて、びっくりでした。

12.フレーム規格やパーツが多様化していて戸惑う!
以前は、何らかのフレームに、リムはマビック、ハブを含むパーツ(コンポ)は、シマノかサンツアーかカンパニョーロをつけて完成・終わり、と単純でした。そのため、互換性もあり、BB(ボトムブラケット)やヘッドパーツ部分の規格も統一されていて、BBの工具、ヘッドパーツの工具を持っていれば、自分で自転車を分解できたり部品交換やメンテナンスもできて、楽でした。
近年では、フレームメーカーや系列メーカーが、独自のパーツをつくっていたり、BBなどの規格もさまざまになってきたり、シートピラーもメーカー独自のものになったりしてきて、互換性がないのが当たり前の部分も増えました。例えば、以前の完成車は、すべてのパーツがシマノであればシマノで統一されていて当たり前だったのが、シマノコンポ使用をうたっている完成車でも、ブレーキ本体はシマノではなかったり、チェーンは違うメーカーであったり、クランクチェーンホイールやハブがシマノでなかったりすることもあります。さらには、エアロ重視でワイヤー内蔵が当たり前になってきたなど、以前より自転車をいじることが気軽にできにくくなりました。互換性が乏しいので、ある部品が壊れてしまったら、そのメーカーのそのパーツを入手するまでは直らない、などということが当たり前になって、困ることも出てきたかと思います。

昔のヘルメットキャップ

ヘルメットはもちろん

西湖サイクルグランプリ

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